心が落ち着かないときは、読書が一番のお薬です。本を読むと、現実の辛いことが何とかやり過ごせた気がします。
私が人生で一番つらかったとき、この本に出遭うことができました。
今も、コロナ渦で辛い思いをしている方々もたくさんいると思います。
また昨今のウクライナ情勢を見ていてもこの本を思い出したりしますね。
ということで、ぜひともこの本を読んでほしいと思います。図書館でもだいたいおいてあります。借りてきてもいいので。
おすすめです。
夜と霧とは
本書は、みずからユダヤ人としてアウシュヴィッツに囚われ、奇蹟的に生還した著者の「強制収容所における一心理学者の体験」(原題)である。
「この本は冷静な心理学者の眼でみられた、限界状況における人間の姿の記録である。そしてそこには、人間の精神の高さと人間の善意への限りない信仰があふれている。だがまたそれは、まだ生々しい現代史の断面であり、政治や戦争の病誌である。そしてこの病誌はまた別な形で繰り返されないと誰がいえよう。」 (訳者 あとがき)
著者・訳者
著者 : ヴィクトール・E・フランクル
訳者 : 池田 香代子
あとがきより抜粋
抜粋
わたしたちは、おそらくこれまでのどの時代の人間も知らなかった「人間」を知った。
では、この人間とはなにものか。
人間とは、人間とはなにかをつねに決定する存在だ。
人間とは、ガス室を発明した存在だ。
しかし同時に、ガス室に入っても毅然として祈りのことばを口にする存在でもあるのだ
印象に残った言葉
『強制収容所にいたことのあるものなら、点呼場や居住棟の間で、通りすがりに思いやりのある言葉をかけ、なけなしのパンを譲っていた人々について、いくらでも語れるのではないだろうか。そんな人は、たとえほんの一握りだったにせよ、人は強制収容所に人間をぶち込んですべてを奪うことはできるが、たった一つ、与えられた環境でいかにふるまうかという、人間としての最後の自由だけは奪えない、実際にそのような例はあったということを証明するには充分だ。』(精神の自由:110ページ)
自然からの癒し
【壕のなかの瞑想】という項では、収容所では現実的には生に終止符を打たれた著者たちが、作業中にみかけた森の沈んでいく夕日の美しさに魅了されたり、労働で死ぬほど疲れてへたり込んでいるときにも、地平線いっぱいに血のように赤く輝く太陽を眺めたりと、絶望な毎日でも、自然というものは普遍的で、著者たちは言葉もなく心を奪われている様子が、私にはとてもよく理解できた。
戦時中の方たちと比べると我々は辛いという言葉を発せれないと思うが、それでも、我々なりに辛い時も、普遍的に変わらない空や太陽や星や森や雲なんかを眺めると、美しくて、感動して、癒される時がありますよね。
こういうところに当時辛かった私は癒されたし、日本の四季を感じながらつらい現実を乗り越えることができました。
生き抜くことに執着する
極限状態においては、意外にも繊細な被収容者の方が、粗野な人々よりも収容所生活によく耐えたという逆説があったそう。
”もともと、精神的な生活を営んでいた感受性の強い人々がその感じやすさとは裏腹に収容所生活という困難な外的状況に苦しみながらも、精神にそれほどダメージを受けないことがままあった”と書いてありました。
これは、現代で生きづらいといわれているHSPの方や発達障害の方にも朗報ではないでしょうか?
結局のところ、日頃から生きる意味を考えて行動していると、こういう限界状態でもなんとか凌げる精神力があるのでがと感じずにはいられませんでした。
まとめ
私が人生で辛い時に、この本に出遭えてとても勇気をいただきました。
何かに悩んでいて解決したいことがある方は、一読の価値ありですよ!